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TOP INTERVIEW

統合から1年、
“音楽×テック”が描く
エンタメの未来図

スペースシャワーSKIYAKI
ホールディングス株式会社
代表取締役共同社長

株式会社スペースシャワーネットワーク
代表取締役社長

林 吉人

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スペースシャワーSKIYAKI
ホールディングス株式会社
代表取締役共同社長

株式会社SKIYAKI
代表取締役社長

小久保 知洋

2024年4月1日、旧スペースシャワーネットワークグループと旧SKIYAKIグループが経営統合し、スペースシャワーSKIYAKIホールディングスとして新たなスタートを切りました。統合からの約1年の振り返り、コンテンツクリエイティブとテクノロジーの統合が生み出す可能性、そして、これから加速させていくシナジーについて、林吉人代表取締役共同社長、小久保知洋代表取締役共同社長にインタビューしました。

両社のアセットを最適化し、
経営の安定性が高まった1年

――経営統合1年目を振りかえってみて、
いかがですか?

まだベースが築けた段階ではありますが、一定の手応えを感じています。統合後すぐに目に見えるシナジーが出たわけではありませんが、地道な取り組みを着実に進めてきました。
SKIYAKIとしては、当社サービスとの親和性が高い「CONNEQT+」を取り込んだことや、スペースシャワーがこれまで外部委託していたシステム部分の内製化推進、システム管理を担う人材の一部をスペースシャワー側からSKIYAKIに転籍させるなど人材面での整理も行い、着実に成長への基盤を固めることができたと感じています。
当初はもっとスピード感を持って踏み込みたい気持ちもありましたが、実際に動かしてみると、それぞれの組織に根付いた文化やオペレーションの違いを丁寧に理解する必要がありました。
しかしこの1年で相互理解が進み、現在は次のフェーズに進むための準備が整ってきたと感じています。2年目は、いよいよ両社の強みを掛け合わせたシナジーが本格的に花開く年にしていきたいと思います。

「統合1年目として、良いスタートが切れた」と自信を持って言える年だったと感じています。
スペースシャワーは以前、3セグメントで情報開示を行っていました。今回の経営統合を機に、現在は「コンテンツセグメント」と「ソリューションセグメント」の2軸体制へと再構成。前期ではソリューションセグメントはまだ赤字でしたが、当期、しっかりと黒字化しました。具体的には、コンテンツセグメントで7.5億円、ソリューションセグメントで1.2億円のセグメント利益を計上しています。数字上では両セグメントで大きな差があるように見えますが、ソリューションセグメントには経営統合に係るのれんの償却費用が全て含まれているため、実質的な利益水準としては3.5億円程度に相当します。つまり、コンテンツとソリューションの利益構成比は「2対1」ほどなっており、経営の安定性が高まっていると考えています。安定的な収益基盤となるソリューションセグメントがしっかり育ってきたというのは、経営的に非常に大きな成果だと考えています。
また、構造改革は、統合初年度の大きな取り組みのひとつでした。スペシャは歴史が長い分、多様な方向性を持つ組織になっていました。構造改革により、組織も人員も丁寧に見直し、グループとして各事業会社のベクトルを揃え、次の3年、5年に向けて、それぞれの社員が同じ方向を向いて走り出せるスタートラインに立てたと思っています。

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2026年3月期は、
業績計画を着実に達成することで
株主様に信頼していただくことを目指す

――2026年3月期の業績予想と、
その前提を教えてください。

今期の業績については、売上高210億円、営業利益13億円、当期純利益7.5億円を計画しています。2025年3月期に収益を圧迫した要因である統合関連費用の発生が今期は見込まれていないことを踏まえると、この業績予想は、株主や投資家の皆さまにとってやや保守的に映るかもしれません。
今回の業績予想には、将来的な成長を見据えた先行投資や人的投資を予算に組み込んでいる点も、重要なポイントのひとつです。たとえば「人」の分野では、採用難が続く中でも優秀な人材を確保することが不可欠です。そのため、今期は人件費を含む人的投資の規模も大きくなっていることをご理解いただければ幸いです。

業績予想が保守的に見えたとしても、実際に成果を積み上げて中期経営計画を達成し、配当性向35%~45%へのコミットメントに基づく累進配当を実現し、市場から「信頼に足る企業」として評価されることが、何より重要だと考えています。

――今期の課題について
教えてください。

現在の事業環境として、ライブのチケット価格がかなり上昇しています。以前は年に3回行っていたライブを1回に減らすというような消費行動の変化は、業界にとっては決して小さくない影響です。
特に今は物価高が続いており、個人の家計に占めるエンタメ支出の優先順位も厳しくなってきています。そのような中で、スペシャのフェスやイベントが「お金を払ってでも見たい」と思っていただける存在であるかどうかが問われていると感じます。フェス業界も今や競争が非常に激しく、まさに“優勝劣敗”の世界です。その現実としっかり向き合い、物価高の中でも「これだけは観たい」「参加したい」と言ってもらえるような体験をつくり続けていくことが、課題の一つだと考えています。

エンタメビジネスの強みは、価格弾力性が強いこと。つまり「見たいものは見たい」「推したいものは推したい」という強い動機が働く世界です。経済環境が厳しい時期でも、お客様に選ばれるコンテンツを提供し続けることができれば、非常に強力なビジネスモデルになると考えています。
一方で、ソリューション領域については、常に他社との違いは何か、なぜ選ばれるのかが問われる世界です。とりわけディストリビューションやファンクラブの領域では、「どうやって他社サービスへの乗り換えを防ぐか」が継続的な課題となっています。また、ここ1年でのAIの進化は目覚ましく、今後は当社だけでなく競合各社においても、コーディングスピードや開発効率が飛躍的に高まっていくでしょう。その結果、従来のように「機能の多さ」や「開発の速さ」そのものが競争力になる時代ではなくなると思います。
だからこそ、立体的・複合的にサービスを組み合わせ、グループ全体として強さを維持し続ける体制が重要です。音楽の現場にいるスタッフの困りごとを言語化し、AIを活用しながらプロダクト開発を実施していくことが我々の今後の強みになっていくと考えています。「統合をどうシナジーに変えていくか」、これを意識して今後の戦略を進めていきたいと思っています。

そんな中、両社のシナジーとして、ひとつ形になったのが、2025年1月10日にリリースした「 ラブシャビレッジ」です。ラブシャビレッジはSWEET LOVE SHOWERの公式会員サービスで、入手が困難なラブシャのチケットの優先確保や、会員限定ラウンジのご利用や駐車場、オフィシャルツアーへの優先申込、会場内での各種サービスなどイベント参加をより楽しめるサービスです。
きっかけは、経営統合後の議論の中で自然と立ち上がってきたアイデアでした。「SWEET LOVE SHOWER」は、ただのイベントではなく、一種のキャラクターのような存在で、長年にわたり多くのファンに愛されています。また、フェスという体験自体がとてもアナログであることから、「もっとDX化できないか?」という課題意識もありました。こうした点を足がかりに、SKIYAKIとの協議が始まりました。最初はフェス空間全体のDX化を目指してスタートしましたが、紆余曲折を経て、ラブシャビレッジという形に落ち着きました。まずは一度やってみよう、というスタートですが、今後はさらなる発展型を考えていきたいと思っています。今年の実施により、お客様の反応やニーズも見えてくると思いますので、そうした声を丁寧に拾いながら、着実に成長させてまいります。

「お金は払うから、当日も快適に過ごしたい」というニーズは、確実にあると思っています。今回リリースしたラブシャビレッジを通じてそのニーズに応えられる可能性が見えてきました。ただ、その快適さを提供する一方で、ラブシャブランドを壊さないようにすることも非常に大切です。過度な導入は、お金を払った人だけが特別扱いされる印象を与えてしまいかねません。ラブシャビレッジも、規模感を間違えると、「あそこに入れない人は楽しめないのか」と感じさせてしまうリスクがあります。誰もが気持ちよく参加できる空間をベースに、プラスの体験として価値を提供する。その絶妙なバランスを取りながら、長く愛されるフェスであり続けたいと思っています。

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中期経営計画「Ignite 2027」
目標達成に向け着実に施策を
実行していく

――2024年11月、3ヵ年の中期経営計画「Ignite 2027」が発表されました。
本中計策定の背景や、
ねらいについて
教えてください。

私がスペースシャワーネットワークの社長に就任した2021年は、まさにコロナ禍の真っ只中で、先行きが見えない非常に厳しい時期でした。社員や株主の皆さまが「この会社はコロナ禍を乗り越えられるのか」「これからどうなっていくのか」と不安を抱えていることを肌で感じました。
そうした状況だからこそ、あえて将来をしっかりと見据え、中期経営計画を策定することを決断しました。実はそれまで、スペースシャワーは中期経営計画を社外に公表していませんでした。正確には、上場直後に一度策定したものの、その内容は簡易的で、社内でも記憶している人はほとんどいませんでした。
2022年に策定した中期経営計画「DAYLIGHT2024」は、社内の主要幹部と議論を重ねながら、それぞれのユニットの成長戦略を検討し、取りまとめたものです。そのプロセスの中で特に良かったと感じたのは、各部門やグループ会社の責任者が自ら中期プランを描くことによって、組織全体の自律性と視座が大きく高まったことです。
そして2024年度は、この「DAYLIGHT2024」の最終年度でした。特殊要因を除けば、多くの事業ユニットが中計の目標を達成し、それ自体も大変喜ばしいことではありますが、それ以上に印象的だったのは、各責任者が従来のように単年度の予算目標に追われるだけでなく、自ら描いた中期的なビジョンを意識し、主体的に事業運営に取り組むようになってくれたことです。その姿勢の変化を目の当たりにして、「中期経営計画を策定して本当によかった」と実感しました。
そして今回の経営統合という、いわば企業同士の「結婚」とも言える大きな節目を迎えるにあたり、統合後の新たな価値創出の方向性を社内外に示すことは、非常に重要だと考えています。
社外に対しては、株主の皆さまに対して将来への期待と安心をお届けすることができ、社内においては、これを機に社員一人ひとりが“自分たちで未来をつくる”という意識をさらに高め、新しい一体感を持って歩み始めるきっかけになる——そうした思いから、今回も中期経営計画を策定・公表することに、大きな意義を感じています。

SKIYAKIはもともとグロース市場にいたこともあって、中期経営計画を策定するという文化がありませんでした。しかし、今回、スペースシャワーとの経営統合を経て、会社としてのフェーズが明らかに変わりました。グループ全体としてどんな未来を目指すのか、そのためにどんな戦略を描き、どんな指標を追いかけていくのか。それをしっかりと社内外に示すことが、今の私たちには必要だと感じました。
投資方針や株主還元の考え方も含めて、定量的な目標を掲げるというのは、マーケットとの信頼関係を築いていくうえでも大切な一歩だと思っています。そして、その目標をひとつひとつ実行していくことで、結果的に株価や企業価値の向上につながっていく。そんな流れを、今回の中期経営計画を通じてつくっていきたいと考えています。
すでに今期においても、中期経営計画に掲げた「コンテンツ戦略」の一環として、「POP YOURS」の大阪初開催や、「あっとほぉーむカフェ 名古屋大須本店」のオープンなど、具体的な施策が進行しています。そうした施策が実際に着実にローンチされているという点で、戦略の具現化に向けた手応えを感じ始めているところです。2028年3月期における目標達成に向けて、これら施策を着実に実行してまいります。

中期経営計画「Ignite2027」の
詳細はこちら

――最後に、株主の皆さまへ
メッセージをお願いします。

当社グループの経営統合から一年が経過しました。統合初年度にあたる2024年度は「準備期間」と位置づけ、特に旧スペースシャワーネットワークを中心とした構造改革の推進と、2025年度から始まる中期経営計画の策定に注力してまいりました。
2025年度はその中期経営計画の初年度として、業績の基盤をより強固なものとしつつ、株主の皆さまに将来への期待を抱いていただけるような事業投資や新規事業の推進に積極的に取り組んでまいります。今後とも変わらぬご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

経営統合から1年が経ち、両社の理解と連携も深まり、ここから本格的に事業シナジーを加速させていくフェーズに入ったと感じています。組織面でもグループ全体での再編を行い、コンテンツとソリューションという二つの柱がそれぞれの強みを発揮しながら、相互に補完し合い、持続的に価値を高めていける体制が整いつつあります。
一方で、AIを中心とした技術の進化が、ビジネスの前提や価値の定義を大きく変えていくことは間違いありません。だからこそ、私たち自身も変化を恐れず、常にアップデートを続けられる柔軟な組織でありたいと考えています。
株主の皆さまには、引き続きご期待にお応えできるよう、グループ一丸となってチャレンジを続けてまいります。今後とも、変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。

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FINANCIAL SUMMARY

売上高

2025年3月期 20,637 百万円 前期比 +27.8%

(単位:百万円)

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営業利益

2025年3月期 877 百万円 前期比 +42.0%

(単位:百万円)

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  • 2025年3月期においては、早期退職制度の実施などに伴う特別損失の計上があったものの、主にソリューションセグメントにおいて好調な推移が継続したこと、放送事業において費用の圧縮に注力したことなどにより、業績予想を上回る着地となった。
  • 2026年3月期においては、『Ignite 2027』に基づき、『コンテンツとテクノロジーの融合による新たなエンタテインメントの創出』を基本方針として、成長基盤の強化と収益性の向上を図る。コンテンツセグメントにおいてはフェスの水平展開や店舗拡大、ソリューションセグメントにおいてはさらなる顧客獲得により増収増益を目指す。
決算説明資料はこちら

TOPICS

SPACE SHOWER NETWORKS
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SKIYAKI

今年30年目を迎える「ラブシャ」が
8月29日~31日に3DAYS開催決定!
さらにラブシャ公式会員サービス
「ラブシャビレッジ」開設!

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2025年8月29~31日に3DAYS開催が決定した野外フェスティバル『SWEET LOVE SHOWER(ラブシャ)』に先立ち、2025年1月10日、ラブシャ公式会員サービス「ラブシャビレッジ」を開設しました。
有料会員制となる「ラブシャビレッジ」では、入場チケットの優先販売、会員専用ラウンジおよび駐車場のご利用、オフィシャルツアーへの優先申込など、快適にフェスをお楽しみいただくための各種特典をご用意しております。

SPACE SHOWER NETWORKS

結成10周年を迎えた「Tempalay」が武道館初ライブ!
惑星をモチーフにした演出で10周年を華々しく彩る

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2024年10月3日、当社所属のオルタナティブロックバンド・Tempalayが結成10周年を記念し、初の日本武道館ワンマンライブ『惑星X』を開催しました。
 会場は“惑星X”へ向かう宇宙探索船として演出され、観客は宇宙の旅へと誘われるような没入感に包まれました。エンジン音が響く中、ツアーコンダクター役の女性が航行の目的を語り始めるも、突如音声と映像が乱れ、客電が落ちてライブがスタート。劇的な展開に会場は大きな歓声に包まれました。

1万人弱の観客を動員した本公演では、Tempalayならではの独創的な世界観のもと全28曲を披露。結成10周年という大きな節目を圧巻のステージで鮮やかに締めくくりました。

SPACE SHOWER NETWORKS

第17回CDショップ大賞2025にて
柴田聡子『Your Favorite Things』が
大賞<赤>を受賞!

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2025年3月6日、当社レーベル「AWDR/LR2」所属の柴田聡子による最新アルバム『Your Favorite Things』が、「第17回CDショップ大賞2025」において大賞<赤>を受賞しました。本賞は、“何回でも聴きたい素晴らしい作品=#神アルバム(と呼べるようなスタンダードとなりうる作品)”に贈呈されるもので、「アルバムを通して映画の中にいるようなストーリー性が感じられる最高傑作!」等、高い評価を得ました。

SKIYAKI

40年以上続くSFアニメの金字塔
「マクロス」シリーズ公式ファンクラブ
「超時空ファンクラブ マクロス魂」を
フルリニューアルオープン!

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2024年6月4日、SFアニメの金字塔「マクロス」シリーズの公式ファンクラブ「超時空ファンクラブ マクロス魂」をフルリニューアルオープンしました。
有料会員への登録で、ライブ/イベントへの最速チケット先行に加えて、ファンクラブ会員限定のリアルイベント開催やグッズ販売、ここでしか聞けない毎週更新のラジオ番組など、多岐にわたる会員特典を通じて、作品の世界観をより深くご体感いただけます。

INFINIA

あっとほぉーむカフェが “メイドの日”
5月10日に
国内11店舗目となる新店舗を
大須に2フロア同時グランドオープン!

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2025年5月10日(メイドの日)に国内11店舗目となる新店舗「あっとほぉーむカフェ名古屋大須本店」をオープンいたしました。目印でもある大きな看板は、カチューシャ型のエントランスと共に入る前からワクワクを高め、入るとあっとほぉーむカフェの魅力あふれる動画が流れる大型ビジョンがロビーでお出迎えします。階段を上がると現れる2階と3階のフロアは、それぞれまったく違った世界観が広がり、異なる顔を持つあっとほぉーむカフェを楽しむことができます。

INFINIA

メイドが秋葉原で一日消防署長に!
春季火災予防運動を前に消防演習に
参加しました

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2025年2月28日、「あっとほぉーむカフェ」のレジェンドメイド・hitomiとスーパープレミアムメイド・Chimuが、神田消防署の一日消防署長に就任。3月に行われる春季全国火災予防運動に先立ち、秋葉原ラジオ会館で消防演習に参加しました。
hitomiははしご車に搭乗し、ビル屋上から緊急脱出を試みる隊員に対して号令を出し、救助活動を見守りました。地上ではChimuが指揮本部での支援を担当。最後は一斉放水の号令で演習を締めくくりました。あっとほぉーむカフェは、これからも地域貢献活動に励んでまいります。

2024年3月期の
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